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仏様の「歯」は「権力」の証 ― スリランカ王朝と仏歯の物語

仏教の開祖・ゴータマ・ブッダは、紀元前5世紀にインドで悟りを開き、多くの人々を導いたとされる存在です。彼の死後、その遺骨(仏舎利)は世界各地に分けられ、仏教信仰の中心的なシンボルとして大切にされてきました。

その中でも、特別な意味を持つ遺物が「仏歯(ぶっし)」――ブッダの歯です。中でも、スリランカの都市キャンディにある「ダラダー・マーリガーワ寺院(仏歯寺)」には、仏陀の犬歯が納められており、今なお国家的な聖地として多くの巡礼者を集めています。

しかしこの仏歯、実は単なる信仰の対象ではありません。スリランカでは古来より、**「仏歯を保有する者こそが王となる正当な資格を持つ」**とされており、これは単なる宗教的遺物ではなく、国家の正統性を支える象徴=権力の証として扱われてきたのです。


仏歯が「王権の象徴」になった理由

4世紀頃、インドからスリランカへ仏歯がもたらされたという伝承があります。当時、仏歯は王族によって厳重に守られ、王位継承と結びつけられていきました。仏歯を安置する場所は常に王のもとにあり、その管理権を持つことが王としての正当性を示す手段だったのです。

たとえば、敵国に仏歯を奪われることは単なる宗教的損失ではなく、**「王位を否定されるに等しい国家的危機」**とされていました。仏歯を取り戻すことは、王の権威を再び確立する行為そのものだったのです。


キャンディ王朝と仏歯の守護

16世紀、スリランカ内で戦乱が続く中、仏歯は安住の地を求めて何度も移動しました。最終的にそれを迎え入れたのが、スリランカ中部の都市「キャンディ」に拠点を構えたキャンディ王朝です。

この王朝は、仏歯を厳重に守るために現在の**「ダラダー・マーリガーワ寺院」**を建立し、王権の象徴としての地位を盤石なものとしました。
それ以来、キャンディは「仏歯の都」としてスリランカ仏教の中心地となり、現在でもその伝統が脈々と受け継がれています。


国家遺産としての仏歯

現在、仏歯は金の容器に納められ、直接見ることはできませんが、毎年夏に開催される「ペラヘラ祭」ではその象徴が神聖な象徴として行列の中で奉じられ、国を挙げての一大イベントとなっています。

また、ダラダー・マーリガーワ寺院を中心とした「聖地キャンディ」は、1988年にユネスコの世界文化遺産にも登録されました。これは単なる宗教施設ではなく、スリランカ国家のアイデンティティそのものを象徴する存在として、国際的にも認められた証です。


歯に宿る「信仰」と「権力」

仏様の「歯」がこれほどまでに国家と深く結びついた例は、世界的にも珍しいかもしれません。
スリランカでは、仏教的信仰と王権が不可分のものとして発展してきた歴史があり、仏歯はまさにその象徴でした。

この物語は、歯が単なる身体の一部ではなく、人々の信仰・誇り・統治の根幹にまで関わり得るという、文化の奥深さを教えてくれます。

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